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熊本市南区少年少女発明クラブ

2/21(土)熊本市南区の富合公民館。

参加者4名というアットホームな雰囲気の中で行われた「熊本市南区発明クラブ」。

この活動には、子供たちが自ら知を構築していくための巧みな設計を隠していました。単なる「工作教室」に留まらない、学びのプロセスを振り返ります。


1. 「自分を知る」ことから始まる学び


活動の冒頭、子供たちはMBTIやビッグファイブ診断を用いた自己分析を行いました。


これは単なる性格診断ではなく、教育心理学でいう「メタ認知(自分の思考を客観的に把握すること)」を促すためのステップです。


自分がどのタイプかを知ることで、「自分ならどう問題を解決するか」という自分なりの武器(リソース)を確認する。この自己理解が、この後の創作活動における「自己効力感」の土台となりました。


2. 「制約」がアイデアを引き出す


次に、カードを組み合わせてアイデアを出すワークが行われました。「状況のカード」×「感情のカード」という掛け算です。


一見難しそうに見えますが、実は「二重符号化(言葉とイメージを結びつける)」や「認知負荷の調整」として機能しています。ゼロから自由に考えるよりも、限定された条件がある方が、脳は活性化するのです。


さらに、ポイント制を導入することで「社会的促進(他者の存在によって作業効率が上がること)」が働き、会場は大いに盛り上がりました。


3. 紙コップ2個が生んだ「試行錯誤」のドラマ


メインの活動は、紙コップ2個と輪ゴム3本という極めてシンプルな「紙コップロケット」作りです。


「どこまで飛ばせるか」という明確なゴールと、最小限の材料という「制約」が、子供たちの創造性に火をつけました。


最初は乗り気ではなかったある男の子が、気づけば誰よりも前のめりに取り組んでいました。これは、課題の難易度と本人のスキルが一致したときに訪れる「フロー(没頭状態)」に入った瞬間でした。


彼は何度も飛ばしては、ゴムの掛け方をミリ単位で変えていきます。ピアジェが提唱した「均衡化」、つまり「なぜ飛ばないのか」という矛盾(認知的不協和)を解決するために、自らの知識を修正し、再構築していくプロセスがそこにありました。


4. 結末:正解のない問いを楽しむ



わずか30分のワークショップでしたが、子供たちの変容は劇的でした。


「もっとやりたい!」という言葉は、彼らが「発明とは、特別な才能ではなく、スキルの組み合わせで誰にでもできるものだ」という実感を伴った知識を構築した証拠です。


少人数だからこそ、お互いの工夫を認め合う雰囲気も自然に発生し、最後には温かい連帯感が生まれていました。


この授業から得られる教育的示唆


この実践には、構成主義に基づいた「深い学び」を実現するためのヒントが詰まっています。


・ハードルを下げる定義:発明を「組み合わせの技術」と定義し、心理的障壁を取り除く。


・エラーの価値化:失敗を「修正のためのデータ」として捉え、トライ&エラーを肯定する。


・メタ認知の活用:自分の特性を自覚させることで、主体的な学習態度を引き出す。


「教え込む」のではなく、子供たちが夢中になれる「環境」をデザインすることの大切さを、改めて教えられる時間となりました。

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